
| 第十二回のころねっとセミナーは、前回に続き、あらたまクリニックの加藤正先生を講師にお招きして、三月十四日に女性会館で開かれました。この日は好天にも恵まれ、たくさんの方に参加していただくことができました。今回のテーマは、「自助活動と成長」です。先生のお話を伺って、癒しにつながる多くのヒントを得ることができました。 |
| ACというのは、生き難さを表現している言葉です。その生き難さとは、心が見えない鎖に縛られていることによるものです。前にもお話ししましたが、赤ちゃんのころから鎖につながれて育ったサーカスの象は、大きくなってから鎖をはずされても、鎖があったときのように杭の回りしか移動しなくなります。人もサーカスの象のように、目に見えない人生観や世界観に縛られているのです。 他人の目ばかり気にしていると、本当の自分が窒息してしまいます。本当の自分とは机の脚のようなもので、これがぐらぐらしていたら立っていられません。それは、自己肯定感と呼んでもいいでしょう。自己肯定感は空気のようなもので、ふだんはあまり意識されませんが、これが低いと他人の目ばかり気になって、結局、人間関係もうまくいかなくなってしまうのです。 では、ACだということに気づいたら、そこからどのようにして回復すればいいかということをお話しします。ACからの回復には三つのステップがあります。 その一つ目は、自分の問題に名前をつけるということです。それには、自分の問題を直視する必要があります。これは簡単そうですが、たいへんなことです。心の傷を見つめようとしても、アディクションがかさぶたのように心の傷を覆っているからです。 自分を責めてばかりいる人がいますが、これもアディクションの一つです。自分を責めることで、自分の傷から目をそらそうとしているのです。回復している人は、悩みがなくなったわけではなく、その悩みを受けとめることができるようになった人のことです。 「回復しなければいけない」「治さなければいけない」と思ってはいけません。それでは、自分を追い詰めてしまうからです。自分を健康な人と比べて落ち込むのではなく、気づいたことで前よりも一歩前進したことを認めることが大切です。少しずつでいいから、今の自分を認めていくことです。 アディクションやACの人は、人の目ばかり気にしているから、自分の感情に気づきにくくなっています。その感情が出てくるときには痛みや悲しみを伴い、それに耐えるのはたいへん辛いことです。そんなときは、仲間や知識、援助など、辛さに耐える備えが必要です。 二つ目は、仲間をつくる、仲間とつながるということです。自分だけが悩み苦しんでいるのではなく、同じように生きづらく感じている仲間がいることを知り、その仲間とつながることは、たいへんな支えになります。 グループには鏡作用があります。仲間の姿は、自分の姿を反映しているのです。仲間の言葉に耳を傾けることで、自分の本当の気持ちを知るきっかけも生まれるでしょう。また、悩みや苦しみなどのシェアリング、つまり分かち合いをすることが大切です。 そして、三つ目は、自分を好きになるということです。自分の本当の心の声に耳を傾け、「これさえあればいいんだ」というものを見つけることです。それを見つけた人は、問題を抱えていても楽しそうに見えます。その実際の姿は、なかなか言葉では伝わりません。回復した人が体験談を話すときの表情や話し方からつかみとれるのではないかと思います。 いいことも悪いことも、人はいろいろなものを抱えて生きています。その中で、最も大切なものに気づくことができるといいですね。自分が他人から認められることは、その最も大切なものです。人に認められるための自分をストレートに出せるか、すり替えて表現しているかの違いが大きいと思います。 |
(文責・編集部) |