ころねっとセミナーだより 〜セミナー議事録〜

第13回セミナーだより
 第十三回のころねっとセミナーは、あらたまクリニック院長・加藤正先生の三回の講演の最終回でした。前回同様たくさんの方に参加していただくことができました。今回のテーマは、「自己否定感からの解放」です。先生のお話を伺って、自分自身を見つめるとともに癒しにつながるヒントを得ることができたことと思います。
 現代は、情報化社会です。知ろうと思えば、何でも知ることができる時代です。これは、いいことでもあり、悪いことでもあります。世の中にあふれている情報をそのまま受け入れていると、自分が壊れてしまいます。見方を変えると、現代は「自分はこれでいい」という自尊心をどんどん奪っていく時代だと言えるでしょう。
 このような情報の洪水の中では、家族がバリアとなって、子どもたちを守ることが大切です。大人が情報を取捨選択することによって、安心して過ごすことのできる家庭が築けます。そのとき、大人は情報化社会の中で、迷い無く生きていくための指針を持たなければなりません。それは、自分自身の北極星を持つということです。
 自己否定感がある限り、生きがいを持つことはできないでしょう。自己否定感が強いとやる気が出ないからです。好調、不調の波は、だれにでもあります。その時、その時を楽しむことができる人は、それほど落ち込むことはありません。やる気がない自分は駄目だと否定することで、よけいに落ち込んでしまうのです。
 やる気が出ない人は、いつもバリバリやらなければならないという強迫観念に縛られている人です。また、今の状態がずっと続くと思いこんでいます。ですから、落ち込んだ状態からなかなか抜け出せないのです。
 このような人には、イメージトレーニングが有効でしょう。スポーツの世界でも採用されていますが、よい状態の自分を具体的にイメージすることで、スランプから脱出するきっかけがつかめるかもしれません。
 自己否定感を持つことの悪い点は、対人関係に表れます。対人恐怖というのは、他人が怖いのではなく、駄目な自分を相手に知られることを恐れているのです。だれからも好かれようとして緊張していると、人と話をしていても楽しくないでしょう。その結果、人と会うのが嫌になります。ですから、自己否定感があると、他人と親密な関係が築けません。
 自己否定感の強い人は、本当の自分が極端に小さくなっていて、そのため何かに依存していないと生きていけなくなります。愛しすぎる女たちもその一例です。駄目な男を自分の力で支える自分、つまり頑張っている自分しか認められないのです。それは、自分のパワーを感じていないと生きていけない状態です。
 五木寛之の『生きるヒント』には、なかなかいいことが書いてあります。極限状態でも生き残ることのできる人とは、今日の夕焼けはきれいだと言って立ち止まることのできる人だということが書いてあります。生きていれば、いいことも、嫌なこともあります。世間で幸せだと思われているようなことも、手放すことが必要な場合があります。このような、まさに生きるヒントについての本です。みなさんも、一度お読みになってはいかがでしょうか。
 さらに役立つ生きるヒント、回復する手がかりは、実際に回復した人の話を聞くことです。本当の悲しみを知らない人に、本当の喜びは分からないでしょう。同じ悲しみを体験し、自分より一歩前を行く人の話から得られるものは多いはずです。
 どんなに荒れた天気だって、いつかは回復します。自己否定感にとらわれている人も、今の状態がずっと続くわけではなく、いつかは自分を立ち直らせることができるはずです。落ち込んだときには無理に頑張らないで、そのときの自分にできることからスタートすればいいのです。対人関係の悩みであれば、相手を変えることに力を注ぐのではなく、自分がこうやって生きていこうというイメージを持つことが大切です。

(文責・編集部)
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