
| 第二十回のころねっとセミナーは、「家族カウンセリングルーム」の寺本和子先生を講師にお招きしました。寺本先生には今月、二月、三月と三回にわたってお話をしていただきます。今回のテーマは、「個人の問題は家族の問題」です。 |
| ある事例を基にお話をしたいと思います。ある日、A子さんが人間関係がうまくいかないと言って相談に来られました。職場も定まらず、恋愛しても結婚までには至らずで、両親と同居しているのが居づらいということでした。そして、「私がこうなったのは『母親と祖母との諍い』からであり、私はACです」と話されたのです。 私はA子さんの問題を探るために、家系を三世代さかのぼるジェノグラムを作りました。趣味や価値観などは、多世代にわたって伝達されることがあります。A子さんの問題の源がどこにあるのか、家系を調べることによって明らかになることがあるのです。知性的な面と情緒的な面のバランスが重要なのですが、その自己分化は家族の中で育ちます。それも多世代間の伝達過程の中で見えてくることがあります。 また、家族というものは、家族システム、言い換えれば家族のルールによって動いています。どんなルールによって家族が動いているのか、質問(「私の家族は、困ったとき、家族の誰かに助けを求める」、「家族は、それぞれの友人を気に入っている」など)に答えることによって家族関係をとらえることができます。実際に質問紙法によって、参加している皆さんの家族のシステムを見直してみましょう。(ここで、参加者が二十の問いに答え、その得点を集計しました) ここに出てきた得点は、あくまでも目安であり、ある見方からすればこのような傾向があるということですが、家族のまとまりの程度が分かると思います。家族の中である問題が起きたとき、その家族がどのように対処しているかということが分かります。 A子さんの場合、祖母=迫害者、母=犠牲者、A子=救援者という三角関係が成り立っていることが分かりました。A子さんは、祖母と母、二者の対立に巻き込まれ、自己確立できずにいたわけです。つまり、家庭の平和を保つために、いつも「良い子」を演じていたのです。しかし、他人には良い子(良い人)と思われていても、自分自身は満足できないでいるのです。それは、私たちにも当てはまります。 こうしたことは自分一人の問題ではなくて、家族全員の問題です。ですから家族全員で問題解決に取り組むのが一番いいのですが、それはなかなか難しいことです。実際には、気づいた人が変わることで、家族全体が変わっていくことが多いと思います。具体的には、「ノー」と言える人間になる必要があります。そして、「親はいつも正しい」という幻想は捨てた方がいいでしょう。 A子さんの問題の解決法を一言で言うと、新たな親との関係をつくるということです。そのため、母と祖母との関係から遠ざかり、自分は三角関係の役を下りなければなりません。「良い人」をやめて、期待したり、期待されたりという関係をもたないように努めることです。 私は、より健康的な家族関係をつくってもらうためにカウンセリングルームを開いています。その仕事は、個人の内的メッセージを受け止め、家族の人間関係の調整、援助をすることだと考えています。今回の話は概論のようになりましたが、次回はもう少し具体的な話をしたいと思います。 |
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(文責・編集部) |