
| 第23回ころねっとセミナーは、昨年11月に1回目の講演をしていただいた家族カウンセリングルーム主宰の寺本和子先生を講師にお迎えして、2月13日に女性会館で開かれました。今回のテーマは「家族関係を変えるアプローチ パート1 自分が求める家族」です。 |
| 前回のセミナーの参加者から、どうすれば自分の自己分化が育てられるのか、という質問をいただきました。「自己分化」とは、個人が日常生活の中で他の家族メンバーの感情や思考や不安に巻き込まれずに自分のポジションをもっているということです。しかし、いつまでも親の役や子の役を下りられなかったり、夫婦の問題に子供や実家の親などの第三者を巻き込んだり、中年になっても自分の実家が正しいという考えから抜けられないのは自己分化が育っていない状態なのです。 親が子どもの問題でカウンセリングルームに来ることがありますが、実は親自身が問題をもっているということもあります。このような例は自己分化が育っていないために起きるのです。人は自分の親から価値観、信念体系、生活様式、職業選択、家族イメージ、性別役割、関係パターンなどを引き継いでいます。これらを今の自分に合うように修正したり選択したりすることが、自己分化を育てることになるのです。 自己分化を高めるためには、関係パターンや交流パターンを変えて親密な人間関係をつくることが大切ですが、具体的な方法の一つとしてアサーショントレーニングがあります。アサーションとは自己表現という意味ですが、単に自分の意思や主張を伝えるだけではアサーションにはなりません。相手にも気持ちよく受け取られ、また自分も相手に伝わったと思えることが大切です。しかし、これは容易なことではないので、言わないほうが良いとあきらめてしまう人も多いのではないでしょうか。 アサーションは、基本的人権の一つで相互尊重のフェアプレイの精神に基づいた自己表現です。ものの見方、考え方をリフレイミングする(一般的に言うと、プラス思考にものを見ていく)ことが、アサーティブな自己表現を可能にします。また、言語表現と、顔つきや態度などの非言語表現は一致していなくてはなりませんし、素直に言うことも大切です。誰かが言っていたとか、誰かに聞いたらこうだったとか、遠まわしな言い方ではなく、「私は……だ」と言うことが大切なのです。コンピュータが発達した現代社会は、言わなくても用件は伝わる時代になりましたが、心の問題はことばで伝えなければならないのです。アサーショントレーニングによって、自分のことばを持ち、自尊心や自立心を高める必要があります。 自分を知ることは自己分化を育てることと関わっています。自分を知る方法の一つに心理検査があります。前回のセミナーで、投影法の一つである樹木画を描いていただきましたが、このような心理検査は、単独で何かを判断するために用いるのではなく、カウンセリングのときに相談者を早く知るために併用するものですから、心理検査を受けたいときは専門家に検査してもらうのが良いでしょう。 遠藤龍之介氏の就職が決まったとき、父である作家の遠藤周作氏との間で交わされた砂浜の道の比喩を紹介します。アスファルトの道を行けば、砂浜の道を行くよりも目的地には楽に早く着くことができますが、砂浜の道には足跡が残ります。現在は辛い思いをしていても一歩一歩が足跡として残り、将来はそれが自分の肥やしになります。周作氏は現在やっていることは何一つ無駄になることはないのだということを言いたかったのでしょう。目的が完成されることがすべてではなく、それに至るプロセスが生きる道だと思います。自己分化が育ち自分のものにすることができたら、それをどう表現できるかが、これからの皆さんの課題だと思います。 |
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(文責・編集部) |