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第25回セミナーだより
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| 第二十五回のころねっとセミナーは、あるく相談室室長でソーシャル・ワーカーの小寺明美先生を講師にお招きしました。小寺先生には「ACと家族(共依存と回復など)」というテーマで三回のご講演をお願いしました。今回はそのパート1です。 |
| 児童虐待やセクシャル・ハラスメント(セクハラ)、ドメスティック・バイオレンス(DV)など、昔から存在していたのにタブー視されて表面に出てこなかった事柄が、この十年の間に表に出てくるようになりました。アダルト・チルドレン(AC)も、そうした流れと無縁ではないと思います。原宿カウンセリングセンター所長の信田さよ子さんはACについて、「現在の生きづらさは、親子関係にあることを自己認知した」というように定義しています。この定義にあるように、ACは客観的に診断できるものではなく、自分自身が認知するものです。そして、これは家庭での繰り返すパターンの中で、過剰適応という形で身に付けてきたものです。 ここで、ACを生み出した現代の家族に目を向けてみましょう。現代の家族の特徴は、農村型の家族とは異なる都市型の核家族です。そこでは、男は会社で働き、女は子育てをするという性的な役割分業が出来上がっています。また、都会ではしだいにコミュニティーがなくなり、隣の家庭の暮らしぶりが分からないという家庭の孤立化、密閉化が進みました。同時に少子化の傾向が強まり、少ない子どもを母親だけが、閉鎖された家庭の中で育てるという状況が生まれました。 かつての日本では、地域ぐるみで子育てをしていました。『子育てに出会うとき』(NHK出版)という本を読むと、その様子がよく分かりますが、私は、「昔はよかった」と言っているのではありません。昔とは違うことを知る必要があると言っているのです。 人の出入りのない家庭内では、権力を持った人の力が突出します。「だれのおかげで食えるんだ」、「だれのおかげで学校へ行かせてもらっているんだ」というACの父親の口癖にも自分が支配者だという意識が表れています。 母性神話や良妻賢母という思想は、核家族化が進む中で強調されるようになりました。そして、母親が子どもを支配する傾向も強くなっていったのです。子どもの数が減り、子どもが高学歴になるにつれて、親子が共に暮らす時間が長くなりました。 それは、母親が子どもを支配する時間が長くなったことを意味します。子どもに何かをさせて、親はそのチェックをするというように、家庭の学校化も進行しています。これでは、子どもの逃げ場がありません。多くの日本人は、「逃げる」ということをマイナスにとらえていますが、いやなことがあれば逃げ出せばいいと思います。 家庭内の問題が解決しない中で育った子どもはどうなるでしょう。大人である夫婦の十年とオギャーと生まれた子の十年とは違います。十年という物理的な時間は同じでも、その時間のもつ意味は大きく違うはずです。ACの持つ悩みに対して、「難民に比べれば、まだ、あなたの暮らしはまし」という人がいるかもしれませんが、人と比べて幸せになれるなら、カウンセラーはいりません。 日本では、「愛情」という名で子どもを支配しています。ですから、子どもが「自分」というものを育てるのが困難なのです。高校に入った女の子が、茶髪にピアス、そして、ボーイフレンドができて門限を破るようになった……これは問題でしょうか。これは子どもが自立し始めた証拠で、これを問題視する親自身の考え方が問題だと思います。別の見方をすれば、子どもが親の支配から脱出しようとしているという解釈もできるはずです。 人は自分が困ったときに、何かを変えようとします。困っているという意識がなければ、周囲から何を言われても耳に入らないでしょう。あなたが何かで困っていたり、悩みがあれば、それが変化のきっかけになるはずです。 |
(文責:編集部/講演日:2000年 4月) |