ころねっとセミナーだより 〜セミナー議事録〜

第27回セミナーだより
 第二十七回のころねっとセミナーは、あるく相談室室長でソーシャル・ワーカーの小寺明美先生を講師にお招きした連続講演の最終回です。小寺先生には「ACと家族(共依存と回復など)」というテーマでご講演をお願いしました。今回はそのパート3です。
 今回は共依存についてお話しします。
 共依存という言葉は、アメリカのアルコール問題に関わるソーシャル・ワーカー、心理職の人たちの中から生まれました。今日ではアルコール依存症は「病気」とされていますが、過去においては医療が見放していた時代があります。そのような中で一九三五年に自助グループの原点とも言えるAA(アルコホリークス・アノニマス)が誕生しました。AAで回復する人たちが現れ、その後に病気として治療の対象になりましたが、酒を飲む人=加害者、その家族=被害者というとらえ方に陰がありました。一九七〇年代後半にアルコール依存症の妻たちに共通する特徴に関心が向けられ、共依存と名づけられました。それ以前に「アラノン」という家族グループが誕生していて、そこでは、家族はイネイブラー(飲酒の支え手)というとらえ方をしていました。イネイブラーは行動の特性に注目したのに対して、共依存は関係性に注目したのです。ある人との関係に嗜癖していることを共依存と言います。妻に共依存と名づけられ、妻は被害者ではなく飲む夫と同じように本人としてとらえられるようになりました。このことから共依存はアルコール問題からさらに広がり、夫婦関係、親子関係などの家族問題を解くキーワードとして有効になりました。
 共依存について、いくつかの定義を紹介します。
  • 自らの存在論的安定のため、自己の欲求を定義してくれる人を必要とする人。<A・ギデンス>
  • 人に自分を頼らせることで相手をコントロールする人と、人に頼ることでその人をコントロールしようとする人との間に成立するような依存、被依存の嗜癖的二者関係。<斎藤 学>
  • 心配をかけることで相手を支配しようとする人と、世話をすることで相手を支配しようとする人との硬直した二者関係。不幸でいながらも離れられない関係。<信田さよ子>
 摂食障害の娘と母親、クスリに走る子供と母親、ギャンブル依存の息子と母親など共依存関係と言えます。あるいは躾や親の愛情と言い、子供に対して親の権力を振りかざし支配する場合も共依存と言えます。共依存からの回復は、誰の問題なのかを考え、問題を本人に返し、手を離すことが必要です。
  1. 本人との対応を変える。
  2. 本人との距離をとる。
  3. 本人と異なる自分の行き方を始める。
 共依存に陥っている人たちの多くは自己評価が低く、他人の評価にこだわり、自分の生き方を破棄し、他人のことで頭を一杯にしているのかもしれません。人の世話をしたり、頼らせたりして他者に嗜癖し忙しく生きる共依存は「病気」ではありません。関係の持ち方に問題があるのです。人への過剰な世話や肩代わりをすることは、本人の取る責任を奪い無責任にしてしまいます。距離を保ち、回復を信じて待つことが大切です。

(文責:編集部/講演日:2000年 6月)
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