ころねっとセミナーだより 〜セミナー議事録〜

第32回セミナーだより
 第三十二回のころねっとセミナーは、前回に続いて元精神科医院のケースワーカーで現在は養護施設にお勤めの藤原雅美先生を講師にお招きしました。藤原先生は、ケースワーカー時代に多くのACとかかわり、その支援をしてきました。今回のお話はその体験に基づくものです。テーマは、「自分を見つめてみよう ACの視点から パート2」です。
 アダルトチャイルドだという自覚をもった人たちの多くは、幼少期につらい体験をしています。親や家族との関係の中で、自分の感情を出せない、出したいのに押さえなければならないという状況で育ったという方がたくさんみえます。喜びや悲しみ、怒りといった自分の感情を出せずに、押さえた生活が何十年も続いたら、自分の感情は麻痺してしまいます。うれしい、悲しいという気持ちを感じなくなり、表情も乏しくなってしまうのです。
感情がなくなるということは、自分をなくしてしまうことと同じです。でも、全く自分がなければ生きていけないので、その場その場で相手に合わせることによって自分を保ち、生きていこうとします。でも、本人には、相手に合わせているという自覚がないのです。相手に合わせているだけなのに、自分の判断で行動しているという思いこみがあります。
 しかし、やがてそのことに気づく場合があります。相手に合わせた自分というのは、自分がないという状態なので、それに気づいたときには、たいへんな虚しさに襲われます。そして、自分の存在を否定するようになり、自分を追い込んでしまうのです。
 カウンセリングを受けにくる人たちは、最初は暗い表情をしていることが多いです。そして、私が出会った二十代のアダルトチャイルドの人たちは、「だれかに自分を分かってもらいたい」ということをよく口にしていました。しかし、そう言っている本人が、本当の自分の気持ちが分からないので、他の人と本音で付き合うことができないのです。
 どんな人でも自分の思い通りには生きていけないので、ある程度は相手に合わせることが必要です。でも、それが度を超して、長期間にわたってしまうとたいへんなことになります。
 過去のつらい体験によって、今の自分があるわけですが、それにこだわっていては、過去を引きずることになります。どんなマイナスイメージも、それを受け容れるところからスタートします。自分で自分を否定していては、いつまでたっても状況は変わらないでしょう。
 過去のつらかった出来事によって、今のアダルトチィルドとしての自分が存在するわけですが、次のステップに進むのはかなりしんどい作業です。でも、アダルトチィルドとしての自覚を持ち、自分を見つめる機会を得られたことはたいへん貴重なことだと思います。
 人間関係の中で傷ついたことは、人間関係の中でしか癒せないでしょう。回復のために、さまざまなワークがありますが、ワークのあとで大事なのは、感じたことをだれかに話すことです。それによって、新たな気づきや人とのつながりが生まれ、それらが回復のきっかけとなることでしょう。

(文責・編集部)
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