ころねっとセミナーだより 〜セミナー議事録〜

第47回セミナーだより
 今回のころねっとセミナーは、先月に引き続き、当会発足以来の常連講師である臨床心理士・西野敏夫先生をお招きして、「アダルトチルドレンは今・パート2」というテーマでお話をうかがいました。
 最近の私の愛読書は、朝日新聞社が出している『週刊アエラ』です。その『アエラ』で面白い記事を見つけました。「まぶた」を手術することで肩こりが治るというのです。意外なつながりですが、緊張することと「まぶた」とがかかわっているというのが不思議ですよね。
 ところで、最近よく話題になる「PTSD」についてお話したいと思います。「トラウマ」は、フロイトが精神分析する前からあったのですが、「PTSD」は少しとらえ方が違うでしょう。「AC」と「PTSD」も似ているけれど違います。「AC」は本人が認めるかどうかの問題で、「PTSD」は専門家が下す診断名です。けれど、私が勤める病院では、カルテに「PTSD」と書かれることはほとんどありません。カルテには、表に出ている「うつ」とか「摂食障害」ということが記入されます。「PTSD」は、「急性・単一」のものと「慢性・複合」のものに、大ざっぱですが分けることができます。後者のものは「AC」と通じるところがあります。
 あれほど騒がれた「AC」ですが、今ではあまり耳にしなくなりました。逆に「PTSD」は、衝撃的な事件が起きるたびに取り上げられるようになりました。そして、専門家も「PTSD」に飛びついているようです。それは、お客さんを集めるためだと思います。
 「PTSD」に限らず、心の傷を癒すために、グリーフワークやインナーチャイルドワーク、アサーティブネストレーニング、トラウマワーク、サイコドラマなどが実施されています。それらに取り組むことで、確かに回復したような気になるのですが、ふだんの暮らしにもどると、状態ももどってしまいます。けれど、せっぱ詰まっている人は藁にもすがりたい気持ちで、これらのワークに飛びついてしまうのでしょう。
 そのほかにも新しい治療法が、いくつも出てきました。まだ、耳慣れませんが、「EMDR」という治療法の効果がしだいにはっきりしてきました。効く人とさっぱりという人がいるそうですが……。ナラティブセラピーとかコラボレイティブセラピーというものも始まりましたが、どちらも私には何だかよくわかりません。いずれにしても、こうした治療法で救われるACは、百人のうち十人以下だと思います。
 治療に行くときは、有名なお医者さんは避けた方がいいでしょう。有名な先生は忙し過ぎて、治療がおざなりになってしまうような気がします。パンフレットやインターネットもあてにはなりません。実際に治療を受けている人の実感が大切で、口コミの方が信用できます。よい精神科医、カウンセラーというのは、知らないことは知らない、できないことはできないと言います。あまり一生懸命になってくれる人はお勧めできません。長期的な目で見ると、自分の無力さをわきまえている人の方がいいように思います。

(文責:編集部/講演日:2002年 2月17日)
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