ころねっとセミナーだより 〜セミナー議事録〜

第48回セミナーだより
 今回のころねっとセミナーは、当会発足以来の常連講師である臨床心理士・西野敏夫先生の三回連続講座の最終回です。テーマは、「アダルトチルドレンは今・パート3」です。
 「カウンセラーや精神科医は必要ですか?」というお尋ねがありました。これは難しい質問です。自分が必要だと思えば必要だとしか言えません。カウンセラーや精神科医のところへ行くかどうかは、自分で決めるしかないでしょう。カウンセラーや精神科医にかかるとラクになるかといえば、そうはなりません。経験のある方はお分かりでしょうが、何か問題を抱えること自体が大変なことです。それから、抱えた問題のせいで、生きることが大変です。カウンセラーや精神科医のところへ行くのは、もう一つ大変なことを抱えることになるからです。ですから、すぐにラクになることを期待しない方がいいですね。
 最初はしんどいです。ラクになるまでには、随分時間がかかります。カウンセラーや精神科医の人柄の良さと見立ての良さは、分けて考えなければいけません。自分との相性で選べばよいでしょう。だいたい三回位会うと相性の善し悪しが分かります。ただし、自分の思い通りになる相手を選んではいけません。 「溺れる者は藁をもつかむ」と言います。藁はそれ自体では浮いていますが、それを掴めば藁も自分も沈んでしまいます。カウンセラーや精神科医にも、あまりしがみつかない方がいいでしょう。頼りすぎることは禁物ですが、利用することはまったく差し支えありません。踏み台にすればいいのです。
 先ほども言いましたが、回復には時間がかかります。一年、三年、五年というのが節目だと思います。自分が回復のために何かを始めたときから五年経過すると、随分いろんなことが変わるはずです。回復するのはゆっくりの方が確実です。
 私もそうですが、多くの人たちは臆病です。新しいことを始めるときに、「できなければどうしよう」「失敗したらどうしよう」と思ってしまいます。心に余裕がないときには、「失敗したらすべてが終わり」と思い込んでしまうので、何もできなくなってしまいます。「できるか、できないか」ではなく、「やるか、やらないか」です。失敗しても、自分が恐れているように追いつめられることはないでしょう。
 アルコール依存症の自助グループ(AA)の活動から学ぶことがたくさんあります。ころねっとのミーティングでも使っているかもしれませんが、AAの人たちは毎日「平安の祈り」を唱えています。

「神様、私にお与えください。自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを。変えられるものは変えていく勇気を。そして、二つのものを見分ける賢さを」

 これが本当に身に付くまでは十年位かかるかもしれません。自分では変えられないこと、例えば他人を変えようとしても、それは報われないでしょう。自分でできること、それも簡単だと思えることから始めるのがいいでしょう。大変なことは後回しで構いません。どんな人でも必ず回復します。それは、私が今までに多くの患者さんを見てきた事実です。どうか諦めないでください。

(文責:編集部/講演日:2002年 3月17日)
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